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著者イサク・ディネセン
酒井駒子
訳者田辺欧
発行2025年7月31日
定価1800円(税抜き)
仕様A5判変形/上製/51頁
ISBN978-4-88588-117-6
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まぼろしの馬

「物語の達人」が遺した大人のための童話!?  絵本作家・酒井駒子の描きおろし作品を添えて、初邦訳!

〈ディネセン生誕140周年〉
1930年頃の英国、築二百年の荘厳な屋敷を舞台に子どもの世界と心奥を描く。

病床に臥した少女ノニーのもとに、画家のセドリック叔父さんがお見舞いにやってきた。頑なに口をきかなかったノニーだが、次第にセドリックにこころを開いていく。病の原因が、かつて厩舎で仲良く遊んだ少年ビリーの死にあると知ったセドリックは、ノニーを馬具部屋に連れ出す。そこは、不思議な色と匂いがこもる静謐な世界が存在していた……。

彼は思った。自分は子どもの世界の真ん中へと到達したのだ、と。いま彼は大きな無人の床に立ち、大人になったことの悲しみを痛感していた。ずっと昔に死んだ馬の装飾品のどれが、ビリーの魔法の杖で称揚鼓舞されて、王室の戴冠式の行列に参入できたのだろうか? (本文より)


【著者紹介】
本名カレン・ブリクセン。二十世紀のデンマークを代表する作家。主にディネセンとブリクセンの二つの筆名を用い、英語とデンマーク語の二言語で創作を行う。少女時代から文才と画才を発揮する。1914年スウェーデン人ブリクセン男爵と結婚し、英領東アフリカ(現在のケニア)でコーヒー農園を経営するが、31年に破産して帰国。1935年に『七つのゴシック物語』でデビューする。その後『アフリカの日々』(1937)、『冬物語』(1942)、『最後の物語』(1957)、『運命譚』(1958)などを発表。『運命譚』所収の「バベットの晩餐会」は映画化もされ、日本でも人気が高い。

【訳者紹介】
大阪外国語大学卒業。コペンハーゲン大学北欧語研究科第一課程修了。大阪大学人文学研究科名誉教授。専門は、近・現代北欧文学。著書:『待ちのぞむ魂――スーデルグランの詩と生涯』(春秋社)、田辺欧・大辺理恵編著:『デンマーク語で四季を読む』(溪水社)、共著:『デンマークを知るための70章』(明石書店)など。

【画家紹介】
絵本作家。絵本に『よるくま』『金曜日の砂糖ちゃん』『はんなちゃんがめをさましたら』(偕成社)『BとIとRとD』(白泉社)など。画文集に『森のノート』(筑摩書房)がある。装画も多く手がける。

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