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著者フラーケ
訳者小林和貴子
発行2022年9月8日
定価2850円(税抜き)
仕様四六判/並製/365頁
ISBN978-4-88588-106-0
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きょうは世界の誕生日

ザ・ラムシュタイン物語

  

ドイツ最大級のバンド、ラムシュタインの
キーボード奏者フラーケによる、
エキセントリックなバンド回想録。

本書でフラーケは、ラムシュタイン結成当初からバンドが歩んできた軌跡を、今日(こんにち)のラムシュタインのある一日と重ねて描いている。
きょう、バンドはブダペストでのコンサートを控え、フラーケがホテルから会場に向かうところから話は始まる。シャトルで移動するさなか、ふと過去の情景がよみがえってくる。会場に到着し、コンサート前の楽屋での静かな時間、次第に慌ただしくなっていくコンサート準備の様子、待ちに待ったコンサート、その後のパーティー、ホテルに戻ってつかの間の休憩、そして次の日はザグレブのコンサート会場へ――ラムシュタインにとって、もはや代わり映えのしない一日の光景の中で、バンドとの出会い、初期のいわゆる下積み時代、世界での成功、成功を手にしていま思うこと等々が、様々なエピソードを通して語られる。

要するに、俺たちのバンド史のはじめには、ひじょうにスリリングなコンサートの時代があった。西ドイツではいまだに外国旅行をしている気分だった。人々が快く受け入れてくれなかったわけじゃなかったが、俺たちはまだ無名だったから、ほとんど誰も来なかった。ハンブルクのクラブ・ロゴで演奏したとき、数えられる観客は八人だった。まさにその八人を、俺たちは味方につけようとした。それがまた面白かった。ドイツで最初の成功を手にしたあとで、ひょっとしたら俺たちは、だから喜んで外国に赴いた。ひたすらまた見知らぬ人々の前で演奏するために。
――本文より

【著者紹介】
1966年、東ベルリン生まれ。フィーリング・B、マグダレーネ・カイベル・コンボといったバンドのキーボード奏者として活躍していた。1994年以降、ラムシュタインのキーボード奏者。2015年に自伝的エッセー Der Tastenficker(未邦訳)を上梓している。現在、ベルリンに住んでいる。

【訳者紹介】
慶應義塾大学、ハンブルク大学で学ぶ。現在、学習院大学文学部ドイツ語圏文化学科教授。ドイツ現代文学を研究。訳書にイルゼ・アイヒンガー『より大きな希望』、『映画と災厄』(ともに東宣出版)。