雪と消えにし人や恋ふらむ 建礼門院右京大夫集
現代語訳で読む日本の古典
恋に揺れ別れに苦しむ、ひとの心のありようは千年の時を経ても普遍。平家滅亡により、恋人を失った建礼門院右京大夫の純な魂が詠う古典名作の現代語訳!
平家全盛の時代、建礼門院(平徳子)に仕えるため十六歳で出仕した右京大夫は、煌びやかな宮中生活の中で平家の御曹司・資盛と恋に落ちる。しかし、その後平家は滅亡し、資盛は非業の死を遂げる。彼女はその深い悲しみを抱えながら、命のある限りを亡き人の弔いに費やす……。宮仕えの日々と恋人との逢瀬、後悔する恋愛、そして愛する人を失った悲しさ、苦しさ、鎮魂の旅、移ろう季節など、右京大夫がその時々に感じたありのままの気持ちを和歌と詞書で綴った日記的私家集『建礼門院右京大夫集』。
『源氏物語』から二百年、紫式部に心揺さぶられた右京大夫。そしていま、千年の時を超え、わたしたちは彼女が詠む美しい調べの歌と日々を綴る言葉に、心動かされる。
古典文学をより面白く、身近に感じさせる一冊!
《本書の特徴》
技巧的な和歌をシンプルな現代語訳によって、わかりやすく。さらに日記的文章も、より今の感覚に近い言葉で訳し、巻末の「人物一覧」に右京大夫とのエピソードを交え記すことで、現代人と変わらない、ひととしての右京大夫の姿を浮かび上がらせる。また、前半(高倉天皇崩御まで)の配列を時系列順に整え、本文全体を以下の八つの章で構成することで、右京大夫の心の移ろいが臨場感をもって味わえる。
一 宮中への出仕
二 資盛との恋
三 隆信との逢瀬
四 再燃する資盛への思い
五 資盛との別れ
六 心慰める旅
七 追憶の日々
八 再出仕
【訳者紹介】
新潟県出身。大阪府立北野高等学校、早稲田大学教育学部国語国文学科を卒業。新潟清心女子中学・高等学校で国語科教諭として勤務。現在、新潟明訓高等学校講師。